安倍さんが首相に就任した時、私は既に日本にいなかったので、どういう世間の波で支持率がうなぎ上りだったのかはよく分からない。ただ、アメリカで夜やっているNHKニュースを見ながら、なんてカリスマ性のない人だろうと思ったことを覚えている。小泉さんの後だったから余計そう思ったのかもしれないし、小泉さんの後でそういう意味で存在感を示せる人の方が稀なのかもしれない。良いか悪いかはという評価は別として、とにかく巨大なインパクトを与えた小泉劇場が終わった後で、今度は自分の劇場を開こうって思える人はどれだけいるんだろう。まともな感覚でいけば、「とても劇場なんてできないけど、地味にコツコツやっていこう」ってとこだと思う。そして私はてっきり安倍さんもそういう考えだと思っていた。そしたらビックリ、彼は世にも珍しい、自分の劇場を開こうとする人だった。しかも自分ならそれが可能だと信じて疑っていない。小泉さん直伝のパフォーマンスで最初のうちは支持率も高かったけど、実際の問題が生じたときに彼の限界が明らかになったんだと思う。
なんか安倍さんって学級委員長のようだと思う。責任感と権力に対する執着、そして自負。私こそがっていうのが何を語っている時でも入ってしまう人。そしてクラスの皆は実はうんざりしていたりする。それでもうまくいっているときはいいけれど、何か問題が生じたときには誰も協力してくれないのだ。でも本人はいたって真面目で、それが悲しく、そして恐ろしいことでもある。つまり安倍さんは、本気で「美しい国」を自分が実現できるって思っているんだと思う。そのために必要だと思うことは、権力を使って実行させる。
大学で政治学を専攻して、なんてくだらないんだろうって思った。結局は戦争とかお金とか権力でしかない。私には興味の持てないものだった。そして政治家になる人っていうのは、逆にそういうものに興味を持てる人なんだと思う。だからこそ(こういうと語弊があるかもしれないけど)政治家がお金のこととか権力のこととかばっかり考えているのは当たり前なのだ。そしてもっと極端にいえば、私はそれでも良いと思う。ただし、大事なのは、あくまでも国民の代表って立場を忘れずに、国民を納得させることを意識するってことだと思う。たとえ裏で何かやっていようとも、国民がこの人を選んで良かったと思えるように見せなくてはいけない。小泉さんはそれが上手だったんだと思う。
私は、大衆っていうのは自分を含めそんなに賢明なものではないと思う。だからその人達にどう見せるかっていうのは、簡単な人には簡単なことなのだ。でもそれってセンスに近いものだから、ない人にはないんだと思う。そして、それがないってことを自覚できずに突き進むから安倍政権は痛いのだ。見ていてイタいのだ。
例えば年金問題って騒がれていたけれど、ちょっと落ち着いて考えてみたら、これって安倍さんがしたことではない。だから、逆に考えれば、今まで放置されていたことが明らかになっただけで、それを安倍さんがうまく解決の指揮を執れれば、評価は上がったかもしれない。そこで「私が直してみせましょう!」って言ってしまうのが、安倍さんのセンスのなさだと思う。
ってことでつらつらと長引きましたが、選挙に行ってきました。生まれて初めての在外投票。っていっても記入するものが増えるだけで何も変わらないんだけど。手順が複雑なので、選挙管理の人もいっぱいいて、逆に投票する人は少ないので、なんかすんごい手取り足取りやってもらった感じでした。たかが1票ですが、塵も積もれば山となるってことで、結果を心待ちにしている今日です。