私の束の間の夏休み。旦那は平日仕事なので、結局そんなにバカンスってわけにもいかないのだけど、せめて週末ぐらいちょっと遠出をしようということで、行ってきました温泉に。
私たちが行ったのはWilbur Hotspringsという由緒正しい温泉地。水は草津にも負けない程の硫黄臭で、色は綺麗な緑色でした。混浴の露天風呂は3つあって、一番熱いのが44℃。日本人には普通の温度ですが、でもまあぬるくはないので満足です。ここは水着がオプショナルなので、最初ちょっと不安だったのですが、周りの人達があんまりにも普通に裸で歩き回っていて、なんの抵抗もなく夫婦揃って混浴デビューしてしまいました。よくよく考えたら夫婦で温泉に行っても混浴じゃなきゃ別々に入るわけで、それってなんかつまらない。日本だと宿に家族風呂とかがあったりするんだけど、さすがにアメリカでは珍しい(でもシカモア温泉にはあるらしい)わけで、だとしたらこの選択は結構良かったなぁと後になって思いました。
北カリフォルニアの温泉をいくつか探して気付いたのは、どれもこれもスピリチュアルとかヨガとかマッサージとかが必ずかいてあること。中には宿がコミュニティで月単位のステイのみとかもあった・笑。ということで、こちらではまだまだ温泉というのは日常というよりも、ヒーリングのために行くものらしいです。そして今回訪れたWilburも例に漏れずそうでした。
まずお風呂エリアの中で喋っていい場所といけない場所がある。例えば3つの浴槽は”Quiet Area”と書いてあって、基本的には喋ってはダメなのです。ま、小声でちょっと話しても誰も目くじらたてたりはしないと思うけどね。そしてそのエリアのあちこちに仏像みたいな石像とか、人の顔が彫られた石とか、民族っぽいお面とかが飾られていました。そしてそのエリアからさらに上に登ったところには眺めの良いヨガデッキ。今回は一泊だったのでやってませんが、あそこでヨガやったら気持ち良さそう。
そんな感じで非日常であるということが日本以上に大事みたいで、そのせいかお値段も結構します。それでもそのおかげでばか騒ぎするようなヒッピー集団はいないので、逆にお客さんの層はとても良かったです。
さてこのWilburのもう一つの特徴は、電気はソーラー発電のみで、さらに携帯の電波が届かない。もちろん部屋にはテレビもラジオもなくて、天井のランプはつけてもロウソク並みにしか明るくなく、むしろ手元の電球の方が役に立つくらい。
これは、聞くだけだとえっ?って思うかもしれないけど、実際に行ってみるととてもいい。おそらくは意図的にキッチン以外には時計がなくて、今何時なのかなんて気にしないし考えもしないですごせる。電話ももちろんなくて(フロントに一つと外に公衆電話がある)携帯も入らないから、誰かの電話の呼び出し音とか喋ってる大声が耳に障ることもない。置いてあるアコースティックの楽器は自由に弾いて良くて、歌っている人やピアノやギター弾いてる人もいた。そしてだからこそどのレビューにも、本をもってけとか、自分で楽しめない人は行かない方が良いとかって書いてある。ということで、そういう人にはお勧めです。
そしてさらに独特なのは完全自炊。調理器具と食器とスパイスはあるんだけど、それ以外は全てオイルからビネガーから野菜、肉、パスタとかまで、自分でもっていかないといけない。私たちは一泊だけだったし、そもそもアイスボックスをもっていないので、乾物(パスタとか)で済ませてしまったのだけど、他の人達はそれは見事な料理を作っていた。ちょっと分けて欲しいくらいでした。みんなおっきなアイスボックスいっぱいに食べ物を詰めてもってきていて、すごかったです。
これまた賛否両論あるようで、どちらの言い分も分かる気がするのですが、私としては一番近いお店が車で30分(しかもそのうち5マイルは舗装されてない道路)なので、作らないという選択肢もあっても良いのかなぁと思いました。事前に予約とかすればってことね。
宿自体はこじんまりしたクラシックな家で、宿というよりも誰かの家って感じです。トイレも共同だし、鍵も中からしかかけられない。そのくらい無防備な生活。なんだか旦那のおばあちゃん家に泊まった時とかを思い出した。本当に誰かの家に泊めてもらっている感じでした。
それでもだから皆が過干渉かと言えばそんなことは全然なく、むしろみんなちゃんと距離を置いてくれる。目が合えば微笑むけど、それ以上話すってこともあんまりないし、普段のアメリカ生活のように突然話しかけられることもここではゼロ。私にはそれが気持ちよかった。
次回はせめて2、3泊はしようと思います。そして時間もパソコンも電話も忘れて、ピアノとギター弾いて、マッサージしてもらって、ヨガして、温泉に入るんだ!