“PLEASANTVILLE“を観た。実は前にも観たことがあったと途中で気がついた。でも、前に観た時はこんなに考え込まなかったな。
「人生はイニシエーションの連続だ。後戻りはできない。それを表現したかった。」
「蝶の舌」という映画を撮った監督の言葉。
「蝶の舌」は未だに見ていないけど、この言葉だけは心に深く刻まれたまま薄れることがない。
何かを経験したり、誰かに出会ったり、何かを話したり、何かを見たり、あるいは毎日のルーティーンのような生活の中で何かを発見したり。どんな些細なことも、私たちは巻き戻すこともやり直すことも出来ない。その些細な出来事が起こる前の自分に戻りたくても、そんなことに気付いてしまった自分を否定したくても、私たちはもうそのイニシエーションを受けてしまっていて、それをなかったことにはできないのだ。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある人と、栖とまたかくのごとし。」
『方丈記』鴨長明
「こうしてこの時が 続けばと願ってから 人生はやがて たしかに終わると感じた」
『風の坂道』小田和正
このままでいたいと思う時がある。この幸せを、この瞬間をどうか続けたいと思う時がある。だけど全てのものは移り変わる。諸行無常。自分だってそうなのだ。今の自分と明日の自分は違う。もうあの瞳に会えないように、私はかつてそうしたように君の目を覗き込むことは出来ないだろう。
私たちはやり直すことも、
取り消すことも、
留まることもできない。
だからどうか、毎日を味わい尽くそう。